2015/08/21

【工藤春奈のものがたり】11 諦めと都落ち

仕事はとても楽しかったはずなのに、
なんだか最近体調も悪いし、
立てる企画もパッとしない、
どうして毎日気持ちが晴れないんだろう?

まるで頭の上に大きい金属の板が乗っているみたい。

そう思ったのは入社3年目の4月。
そこから転げ落ちるのは、あっという間でした。

まずものが食べられなくなり、
それまではパンパンに太っていたのに
みるみるうちにげっそり痩せ、
電車でも会社でも過呼吸を起こすようになり、
それでも「私は大丈夫」と言い張る……。

今の私が当時の自分を見たら
有無を言わさずに病院に引っ張っていきますが、
当時は自分で自分のことをうまく認識することもできず、
ただ「大丈夫」というだけ。
どう見ても大丈夫じゃないのに、です。

それがどうにもならなくなって
上司に無理やり連れて行かれた病院で下った診断は、
「鬱病とパニック障害、それもかなり重度。
即入院が望ましい」
でした。

ずっといい子で来てしまった私は、
それを親に言うのがひどく怖く、
ひたすら「ごめんなさい」と言っていたのを思い出します。

入院したのは大学病院の精神神経科。
そんなところに自分がいるということを認められなくて、
毎日「早く退院させてください」と言っていました。

休職と復職を何回か繰り返しても
以前の状態に戻ることはなく、
結局私は入社4年目を迎えるタイミングで
退職することになりました。

山形に編集の職が少ないだろうことはわかっていました。
そして、
それに耐えられるだけの気力も体力もないことも
認めざるを得ませんでした。

泣く泣く編集の仕事を諦め、
都落ちの気分で
絶対に戻りたくないと思っていた山形に戻ることになったのです。

12へ続く。

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