2013/08/16

夏の記憶

 ずるっ、ペタッ、ずるっ、ペタッ、と赤いビーチサンダルを引きずって歩く。綿のTシャツに麻のショートパンツ。
 夏の午後、プールで泳ぎ疲れて、だらだらと歩いていた子どものときの気持ちを思い出す。早く帰りたいのに、手も足も水がつまったように気だるく、木陰を選びながら必要以上にゆっくり歩いていた。家に帰るなり冷凍庫を開けてアイスを食べて、そのまま扇風機の真ん前で大の字になって昼寝をしていたあの頃。
 たぶん、私はそんなに変わっていないのに、ずいぶん遠くに来てしまった。あのときの私は、今どこにいるのだろう。